関東地方整備局宇都宮国道事務所は7、8月の猛暑期間中に建設現場を休工にして作業員が長期休暇を取得できる取り組みを試行している。受発注者が協議すれば休工を可能にする規定を特記仕様書に明記。炎天下での現場作業は建設業の魅力低下につながり、担い手を確保・育成する上で障害となっている。同事務所は「業界や社会構造自体を変革するモデルケース」を目指し、順次拡大する。
猛暑日を休工にする取り組みは、2023年度と24年度の補正予算で発注した工事2件で試行している。作業員の健康や体調管理を考慮し、敷きならしの時に温度が110度以上に達する舗装工事を対象にした。舗装は品質上、50度以下でないと交通開放できない。温度低下が期待できない猛暑期間を避けて施工することは、舗装の品質管理面でもメリットがあるという。
休工の可否は受発注者が協議して決め、猛暑期間中は準備などに充てる。休暇を取得しても、工事の進捗に影響しないように双方が工期延長などを話し合う。
2件の工事を受注した企業からは、「社員の健康管理や働き方改革につながっている」といった意見が寄せられた。現場作業員からも「心身ともに非常に良い」や「夏休み取得時期の自由度が広がったため、繁忙期を避けた夏休みが取得できる」など歓迎する声が寄せられた。
同事務所によると、従前は当たり前だった商習慣を見直すきっかけとして猛暑日の休工を認めた。試行を通じて効果や解決すべき課題を検証しつつ、取り組みを拡大する考え。
休工以外には施工時間を夜間から昼に変更したり、3D起工測量や路面切削の半自動化を進めたりして働き方改革を後押ししている。