勤労者退職金共済機構(勤退共、梅森徹理事長)の建設業退職金共済事業本部(建退共本部)は27日、複数掛け金制度の導入と民間工事への普及に関する有識者検討会の中間取りまとめを公表した。最低でも退職金1000万円超の実現を目指すと明記。掛け金ごとの退職金のイメージを示した。掛け金を必要経費とした元下契約への理解を求めることも盛り込んだ。
複数掛け金制度の導入は、建設技能者の処遇改善を後押しするのが狙い。現行の掛け金日額(320円)を上乗せする仕組みなどを有識者で構成する建退共制度検討会で議論している。建退共本部は27日に東京都内で開いた第56回運営委員会・評議員会に中間取りまとめを報告した。同制度の導入は法改正を伴う。検討会は詳細を議論し、9月に最終まとめを策定する予定で、その後厚生労働省との協議が進められることになる。
中間取りまとめは処遇改善のため「技能や経験に応じて、より充実した退職金を受給する」のが重要と強調。他産業とそん色のない魅力ある退職金制度として「最低でも」退職金1000万円超を目指すとした。改正建設業法などで技能労働者の処遇改善が建設業者の責務として努力義務になったのを踏まえ、元請や事業主が掛け金を上乗せできる仕組みが望ましいとした。事務負担が増えないよう電子申請を提案した。
上乗せを含む日額の設定は柔軟に選択できるようにし、大規模現場や災害関連工事への配慮、建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベルに応じて自動的に掛け金日額を設定する方法が必要だとした。掛け金日額の4段階のモデルと、掛け金ごとの退職金イメージ(45年勤務)も提示。最大掛け金600円の場合の退職金は888万円、700円は1021万円、800円は1154万円、1000円は1434万円。800円超の掛け金日額の設定は法改正が必要。
民間工事への制度の普及は掛け金を建設労働者の必要経費とし、下請と元請が掛け金相当額を含む見積で契約する必要があると求めた。CCUSとの連携で就労日数や建退共掛け金、退職金額を「見える化」し、民間工事でも建退共の周知と理解をさらに深めるよう提案した。