戸田建設/トンネル全体の電波遮断で坑内の無線起爆可能に、発破作業の安全性向上

2025年6月30日 技術・商品 [3面]

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 戸田建設はトンネル工事の効率化に向け、坑内全体で電波を遮断した「電波暗室」化し、無線で発破できるシステムを確立した。地盤内を通過しない特性を持つ「UHF帯電波」や、防音扉を組み合わせて活用。坑外の通信機器への影響を防ぐことで、作業員が切羽から離れて無線で起爆できるようにした。
 坑口付近に設置した防音扉にアースを取り付け、坑内外の電波を遮断。起爆装置の信号の受発信には、地盤内を通過しないUHF帯の電波を採用し、トンネル全体の電波暗室化に成功した。
 西日本高速道路会社から受注している「新名神高速道路宇治田原トンネル東工事」の現場で、非火薬の破砕剤を使った無線起爆試験を実施した。中継機を通じて、切羽から約160メートル離れた遠隔装置からの起爆に成功した。
 坑外の一般の通信機器への影響を調べるため、電波遮蔽(しゃへい)体の外側で電波の電界強度も計測した。起爆時の上昇量が計測下限値以下に収まり、電波法の制限値も下回ったことを確認した。
 今後は山岳トンネルの発破で使用される含水爆薬の起爆を実施する。非爆薬の原材料を使用し、機械が安全に扱える「現場製造バルクエマルジョン爆薬」との組み合わせも視野に入れ、発破作業の完全自動化を目指す。