国土交通省は建設工事の取引実態の実地調査に当たる「建設Gメン」の活動を強化する。建設Gメンが調査に入る取引事案をあらかじめ洗い出したり、調査結果をフォローアップしたりする「補助員」を5月に配置するなど、より効果的で効率的な活動を展開していく。12月までに全面施行する改正建設業法で労務費のダンピングと減額変更依頼、工期ダンピングが規制されることを見据え、法施行後に問題となる可能性がある行為の改善指導に取り組む。=2面に関連記事
各地方整備局などに設置している「建設業法令順守推進本部」の2025年度活動方針を決定した。建設Gメンの調査項目として▽適正な請負代金・労務費の確保▽適切な価格転嫁▽適正な工期の設定▽適正な下請代金の支払い-などに重点を置く。補助員は四国と沖縄を除く各整備局などに計10人を配置した。
書面調査の「下請取引等実態調査(元下調査)」は24年度と同じ3万業者を対象とする。「駆け込みホットライン」への通報も端緒情報に活用し、違反の疑義が高い事案を優先し調査に入る。結果次第で建設業許可部局による強制力のある立ち入り検査などにつなげる。中小企業庁の「下請Gメン」とも情報収集で連携。労働基準監督署と連携した工期の合同調査も続ける。
24年度は1143件で建設Gメンの調査に入り649業者を指導した。指導対象には元請399業者、下請235業者に加え、発注者15業者も含まれる。指導内容で最多は「見積もり」関係で347件。見積もり条件の提示不備などを指摘した。注文者側からの定期的な協議の未実施など、政府の労務費指針を踏まえた指導は260件。労務費見積額の減額変更依頼など、施行前の段階で改正業法の禁止規定に抵触する事案にも指導した。