国土交通省は12月までの改正建設業法の全面施行に合わせ実施する経営事項審査(経審)の改正の方向性をまとめた。適正な労務費の見積もりや技能者の処遇改善に取り組む企業を可視化するため年末までに創設する「技能者を大切にする企業」の自主宣言状況を加点項目として新設。災害復旧に使用する建設機械の保有状況を加点する仕組みで、能登半島地震での活用実績を踏まえ加点対象となる建機の種類を拡大する。
いずれも「W点(その他の審査項目〈社会性等〉)」の評価項目で対応する。自主宣言企業への加点は、建設キャリアアップシステム(CCUS)上の就業履歴蓄積の体制整備状況を加点する仕組みの配点見直しで措置する。体制整備を民間工事を含む全現場で行う企業の配点を15点から10点、全公共工事で行う企業の配点を10点から5点に変更。減らした分の5点を自主宣言企業への加点に充てる。
建機の保有状況は現状で9種類の建機を15点の加点対象としている。ただ能登半島地震の応急復旧で活用された建機には、加点対象ではない種類もあることが判明。復旧途上の大雨も含めた複合災害に対応した建機の活用実績を改めてアンケートし、回答結果を踏まえ加点対象を拡大する。
これ以外に社会保険の未加入企業を減点する仕組みは廃止する。建設業許可の要件に社会保険加入が追加されてから5年経過する10月1日以降は許可業者に未加入が事実上なくなる。許可と経審の重複審査を解消するため、経審では評価項目から削除する。