日立製作所、日立プラントサービス/メタバースで設備管理作業手順を可視化

2025年7月4日 技術・商品 [3面]

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 日立製作所と日立プラントサービスが施設の管理業務を効率化し、作業員の心理的な負担を減らすAIシステムを開発した。現場の知見を蓄えたAIを使い、建物設備のメタバース(3D仮想空間)で作業する手順と場所を重ね合わせるように表示。直感的に可視化することで、機器の特定や操作に迷う場面を減らす。非熟練者の不安を解消しつつ、熟練者の技能継承につなげる。
 「Frontline Coordinator-Naivy(ナイヴィー)」は、AIが文書やBIM、会話履歴に基づき蓄積・生成する情報と現場で起こる事象をメタバースに統合し、必要な情報を人やロボットに適切なタイミングで分かりやすく伝達する。現場にいる担当者はタブレット端末で、Naivyに手順を尋ねながら作業できる。現地の状況はメタバースを介し現場外にもリアルタイムに共有できる。熟練者が助けに入ることも可能。これまで難しかった「現場業務のリモート化」を実現し仕事を教わる機会を増やす。
 開発では、日立プラントサービスの現場で働く従業員から聞き取った困りごとを反映した。同社が管理する工場設備の検証では、非熟練者による施設管理業務の遂行能力が3割ほど向上し、心理的負担の軽減効果を確認した。両社はNaivyを国内外の顧客に展開する方針。ナレッジ管理機能や一部アプリケーションは、年内に日立ソリューションズが製品化を目指す。
 3日に日立中央研究所(東京都国分寺市)で報道発表会を開いた。日立製作所研究開発グループの吉永智明氏(先端AIイノベーションセンタビジョンインテリジェンス研究部長)は「現場の生産力拡大と負担軽減の両立を実現するAI活用を目指した」と開発経緯を説明した。