関東地方整備局が橋梁のライフ・サイクル・コスト(LCC)を算定するアプリを開発した。国内の道路情報を集積した国土技術政策総合研究所(国総研)のデータプラットフォームから橋梁を構成する部材の点検データを抽出。劣化予測モデルと部材の点検データ、工事単価を掛け合わせてLCCを導く。補修の実施時期や順位付けなどの意思決定を支援する。
LCCの算定には国総研の道路データプラットフォーム「xROAD」(クロスロード)に収録したデータを使う。クロスロードには国道や国の点検要領に基づいてメンテナンスした地方自治体の道路情報があり、この中から橋桁や橋脚といった部材ごとの点検データを取り出す。
点検データと国総研が構築した劣化予測モデルを組み合わせると将来予想される構造物の損傷レベルが割り出せる。関東整備局が過去に行ったメンテナンス時の工事単価を掛け合わせるとLCCを算定できる。
壊れたタイミングで補修する「事後保全」と、損傷が軽微な段階でメンテナンスする「予防保全」ごとにコストの推移を可視化。モデル橋梁で検証した結果、予防保全は最初の数年間割高だが、長期的に見ると費用を圧縮できることが判明した=グラフ参照(関東整備局提供)。
算定時間は、関東整備局管内にある約3500橋であれば一晩で済む。LCCは1橋ごとではなく道路やエリア単位での使用を想定する。地理情報システム(GIS)プラットフォームとアプリを連携させて可視化できるようにする。今秋までに完了させる予定で、関東以外の地方整備局で利用してもらい使いやすさを検証する方針だ。