清水建設は地下ピットの検査業務を効率化するため、球体ドローンによる遠隔検査手法を確立した。実際の現場で試行したところ、従来7日間を要していた検査の作業時間を90%削減し1日で完了。作業人員も2人から1人に半減した。今後、東京駅日本橋口で施工中の国内最高の超高層ビル「Torch Tower」(トーチタワー)など、大規模現場での適用を予定している。
新たに確立した地下ピット内の検査手法は、壁や天井などに接触しても墜落せず安定して飛行できる球体のケージを備えたドローンを活用。検査時には4Kカメラと測距センサーを搭載した球体ドローンを地下ピットの開口部から降下させ、モニターに表示される4Kカメラのリアルタイム映像を見ながら躯体の健全性を確認していく。リアルタイム映像は測距センサーで取得した点群データの位置情報とひも付いて表示・記録されるため、映像データそのものを検査記録として活用できる。
同社によると、開口部が少ない地下ピットでは検査時に内部空間の酸素濃度が低下するリスクがある。そのため所定の教育を受けた有資格者による検査が必要となる。送風機や酸素濃度測定器、安全設備の設置といった作業前の準備にも手間と時間がかかる。従来の検査方法は担当者が地下ピットの全区画に赴いて写真を撮影し工事関係者に共有。作業負荷が大きく、撮影した写真を整理して検査記録を作成する必要があった。
同社は新たな遠隔検査手法を地下ピットだけでなく、体育館の天井や煙突内といった高所や狭あいな空間の点検などにも広く適用していく方針だ。