東京都は新宿駅西口駅前広場の人と車の動線変更に向け、バスレーンや停留所の移動、広場周辺道路の改修工事などを進めている。動線変更後、車両は南北方向への通り抜けができなくなり、歩行者は駅と西新宿方面の東西方向に自由に行き来できるようになる。新宿駅周辺のウオーカブルな空間創出に弾みを付ける。
西口駅前広場の動線の切り替えは9月末以降を計画している。バス停は現在、西口駅前広場の中で北側に集中している。一部を南側に移すことでスペースを確保する。
広場周辺の道路は車線の数を減らし、広場に進入する車の数を抑制する。交差点付近では右に曲がる車両が信号待ちする右折レーンの長さを伸ばす。車の流れを円滑化し、渋滞の緩和につなげる。
西口駅前広場の動線変更は、都が施行する「新宿駅直近地区土地区画整理事業」の一環。民間事業者による駅ビルの建て替えと並行して東西の駅出口前に広場を構築する。施工面積は10・1ヘクタールで、東口と西口を結ぶ東西デッキのほか、西口には新たなビルに沿って2階レベルの南北デッキを新設する。東西デッキのうち西側の一部を大成建設が造っている。
東西デッキや広場は2035年度に概成する。事業期間は47年度末まで。
事業費は約728億円。工事費の高騰や人手不足など、事業環境は日々変化している。都の担当者は「影響がないように事業者と調整している。今の段階で変更はない」と説明した。
10日には小池百合子知事が都の幹部とともに現場を視察した。ファン付きの作業着を着用し、西口駅前に設けた2階レベルの仮設構台から小田急百貨店の解体現場などを確認した。担当職員から新宿駅周辺まちづくりの内容や、駅前広場の動線変更などの説明を受けた。