建設経済研究所と経済調査会が建設投資予測の最新推計を11日発表した。6月決定の「第1次国土強靱化実施中期計画」による予算拡大を見越し、4月時点の前回推計から上方修正した。2025年度の投資総額は名目値で前年度比2・5%増の75兆4500億円(前回推計1・3%増)、物価変動の影響を取り除いた実質値で0・7%増(0・9%減)と予測。ただし民間住宅投資は、改正建築物省エネ法・建築基準法施行前の駆け込み着工の反動で24年度を下回るとみる。
分野別の投資予測は名目値ベースで▽政府建設投資=25年度3・3%増と26年度8・6%増▽民間住宅投資=0・1%減と2・6%増▽民間非住宅建設投資=5・5%増と3・6%増▽民間建築補修投資=0・0%増と2・6%増。
政府建設投資は、国・地方自治体ともに予算規模は前年度並みで、足元の出来高も堅調に推移している。国土強靱化対策の予算拡大で実質値で見ても25年度に1・5%増、26年度に6・8%増とプラスに転じると予測する。
民間住宅投資は25年度に落ち込むが一時的な現象と判断している。住宅の高付加価値化や大型化などのトレンドが変わらないと予想されることから26年度に着工動向は平常化するとみる。分譲マンションは新築の価格高騰で中古の需要が増える傾向にあるが、在庫率は大幅な変化がなく今後も同水準の供給を見通す。
民間非住宅建設投資は企業の設備投資意欲の旺盛さから引き続き増加基調とする。事務所や倉庫の着工動向は26年度にかけても好調とみるが、工場関係は米国の関税を巡る先行き不透明感から投資時期が後ろ倒しになると予想。工場の26年度の着工床面積は大幅に落ち込むとした。