戸田建設は山岳トンネル工事の発破作業の効率化に向け、爆薬装填ホースの自動挿入装置を開発した。AI画像処理技術などで装薬孔の位置を正確に検出し、AIロボットアームでホースを自動で挿入する。爆薬の装填作業を遠隔化・自動化することで、崩落の危険性がある切羽での作業を減らし、安全性を高める。
対象物をスキャンして距離情報を取得する「ラインスキャナ」とAI画像処理技術を搭載した「AIロボットアーム」、ホースを押し込む「送り装置」で構成する。UP設計コンサルタント(大阪市港区、道上敦之代表取締役)、HCI(大阪府泉大津市、奥山浩司社長)、虎乃門建設機械(東京都渋谷区、櫻井弘毅代表取締役)の3社と協力して開発した。
ラインスキャナをAIロボットアームで横方向に移動させながら壁をスキャンし、平面的に距離情報を取得する。遠方部分を暗く表示して装薬孔内部を際立たせ、坑内の照度や色調などの環境条件の影響を受けずに、装薬孔の位置を正確に特定できる。
AIロボットアームにはAI画像処理機能に加え、力覚センサーと連携するロボットコントローラーを搭載した。装薬孔付近の画像をAI画像処理し、孔の中心位置を検出。アームが自動で爆薬装填ホースを運び、挿入作業を行う。
ホースの挿入時には、アーム先端の力覚センサーがホースと壁の接触を感知し、自動的に位置を微調整する。送り装置は、装薬孔に挿入後のホースを上下2組のローラーで挟み込み、回転しながら奥まで押し込めるようにした。
HCIの工場で検証実験を実施し、装薬孔の検出から爆薬装填ホースの挿入、押し込みまでの一連の工程を自動で実施できることを確認した。精度と作業速度を高め、現場実装を進める。