大成ロテック/次世代舗装実用化へ耐久実験本格化、複数車両の連続走行で評価期間短縮

2025年7月22日 技術・商品 [1面]

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 大成ロテックは福島県田村市にある「大成建設グループ次世代技術実証センター」に整備した舗装テストコースで、無人自動運転トラックを5台同時に24時間連続で走行させる耐久実証実験を開始した。荷重車両の複数・連続走行が可能になったことで、実道のアスファルト舗装で10年程度必要だった評価期間が約1~3年に大幅に短縮できる。二酸化炭素(CO2)を固定したり、さらに長寿命化できたりするような「次世代舗装技術」の実用化をスピードアップする。=3面に関連記事
 18日に現地で「お披露目会」を開き、大成ロテックの加賀田健司社長や実験で協働する日野自動車の佐藤直樹取締役兼専務役員(日本事業最高執行責任者〈COO〉)らが出席した。福島県の貝羽敦司県中地方振興局長、白石高司市長、大成建設の谷山二朗副社長執行役員サステナビリティ総本部長や白川賢志取締役兼専務執行役員土木本部長らとテープカットし、実験の本格着手を祝った。
 実験は施設にある民間初の「舗装評価コース」(周回延長909メートル)を活用する。日野自動車が開発したレベル4相当の無人自動運転セミレーラー車(重量44トン)を時速40キロで5台同時に24時間連続走行させ、大成ロテックが開発した舗装技術の耐久性を評価する。舗装にひび割れが発生して疲労破壊するまでの通過輪数を短期間で確認し、評価する。
 新開発する舗装技術は循環型経済や脱炭素社会への貢献を重視する。アスファルト舗装のさらなる繰り返し再生利用や、セメントコンクリート舗装のリサイクル材を用いてCO2を固定するような舗装の開発を目指す。その上でより高耐久で長寿命な舗装を開発し、ライフサイクルで脱炭素を可能にする次世代舗装技術の社会実装を目指す。
 大成ロテックは埼玉県鴻巣市にある研究所で基礎実験を行い、同幸手市で建設中の新研究所に設けるアスファルトやセメントコンクリートの実験プラント・試験施工フィールドで実用化に向けた製造、施工を実験する。最終段階で田村市の舗装テストコースを利用し耐久性を実証して社会実装につなげる。
 加賀田社長は「施設での検証を経て次世代の舗装技術を普及し、より良い環境を創造していく」と述べた。舗装テストコースは同業他社などにも広く開放し、イノベーションの創出や地域活性化の貢献にも役立てていく。