大成建設は、建設現場に用いるプラスチック仮設資材を環境配慮型に刷新する。鉄筋や足場などに使う単管パイプの先端に取り付けて擦り傷事故を防ぐための保護キャップを、植物由来の生分解性バイオマスプラスチックで製品化。6月から東京都内で施工する現場11カ所に本格導入した。今後も現場の用途に応じて生分解性バイオマスプラスチック製品の適用範囲や種類を順次拡大する。従来使用してきた石油由来プラスチック製品の使用量と二酸化炭素(CO2)排出量の削減を両立させる。
今回開発した生分解性バイオマスプラスチックの材料には、バイオマス度99%以上あるカネカ製の「Green Planet」を採用した。紫外線や水分による影響を受けやすく劣化しやすい従来の生分解性バイオマスプラスチック製品に比べ、劣化しにくく耐候性に優れる。肉厚の用途を選定することにより、屋外での半年間にわたる暴露実験でも石油由来プラスチック製品と同等の性能があることを確認した。
鉄筋や単管にはめ込む時の使用感や作業性も既存プラスチック製品と同等であり、違和感なく使用できることを現場での適用試験で実証。製品の色はオフホワイトを採用し、黄や緑を採用してきた既製品と区別しやすくして製品回収時の混入を防ぐ。
生分解性バイオマスプラスチック製鉄筋・単管キャップは植物由来の素材を原料にしているため、使用後は土壌や水域に生息する微生物によって水とCO2に分解される。分解時に生じるCO2は生育過程で吸収するCO2によって相殺し収支の均衡を保つ。プラスチックごみ全体の減少にも貢献する。
大成建設によると、標準規模の現場1カ所に使用する鉄筋・単管キャップは平均で数千程度ある。今後は鉄筋や単管に加え他の仮設資材や建設用プラスチック製品に拡大し、それぞれの用途に適した生分解性バイオマスプラスチックへの代替を順次進めていく。