大成建設、三菱電機/マイクロ波ワイヤレス給電を実証/オフィスの環境センサー送受電

2025年12月15日 技術・商品 [3面]

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 大成建設と三菱電機は、マイクロ波を使ったワイヤレス給電システムによる建物内での安全な非接触給電の実証に成功した。両社は実験で人体や建物に影響を与えず、室内の環境センサーに離れた場所から効率良く給電できることを確かめた。今後も実証を続け早期の実用化を目指す。
 共同開発した「T-iPower Beam」は、最大出力200ワットのマイクロ波ワイヤレス送電装置と、建材に電波吸収体を組み込んだ建材一体型受電装置で構成。実証は横浜市戸塚区にある大成建設技術センターZEB実証棟の「人と空間のラボ」で実施。移動式サービスロボットに搭載した送電装置から1・8メートル離れた天井の建材一体型受電装置2台に電力を送り、受電量と漏えい量を測定した。
 受電装置の周囲を電波吸収体で囲んでマイクロ波の拡散を抑制し、安全な環境を構築した。最大4ワットの非接触給電が可能となり、消費電力180ミリワット時の環境センサーであれば、約1時間の給電で24時間稼働できる。建材一体型受電装置を使うことで、周囲への漏えい電力を50%以上低減。人体や建物、他の無線システムへの影響も抑えた。漏えい電力はシミュレーション値と実測値の差が10デシベル以内。シミュレーションによる電波環境の高精度予測にもめどがついた。
 大成建設によると、IoTやAIの普及などを背景に、自立型環境センサーを活用する省人化、省エネルギーソリューションのニーズは拡大傾向にある。有線式は配線工事、バッテリー式は交換・充電の手間が課題。マイクロ波ワイヤレス給電システムはスマートビル、スマートシティーの有効なインフラになるとみている。