国境の武力衝突を巡るタイ・カンボジア両国の停戦合意が29日午前0時(日本時間午前2時)に発効した。国境から離れたタイの首都バンコクは、翌日も普段通りに国内外の人々が過ごしている▼両国首脳が停戦に合意した28日はタイ国王の誕生日に当たり、アユタヤ遺跡の入場が無料になるなど祝賀ムードの中での朗報となった。ただ、砲撃によって多数の民間人が死傷したため、国民感情は複雑と日本政府の関係者は話していた▼タイと日本の関係は長く、深い。バンコク都市圏でチャオプラヤ川に架かる21の橋のうち14橋は、日本の政府開発援助(ODA)で整備された▼経済成長の続くタイでは、バンコク市内の鉄道整備をはじめ旺盛なインフラ需要がある。一方、現地企業やイタリアの建設会社との価格競争が激しく、日系ゼネコンの中には受注を控える動きもある▼それでも老朽化したインフラや防災・地盤対策への関心は高く、日本の技術力と信頼関係に寄せる期待は根強い。先端建設技術センターが30日から開催した現地セミナーにも多くのインフラ管理者や現地企業が参加。技術を通じた絆がより深まることを願う。