新潟県内に暮らす伯母が、隣町でクマが出没したと、取り乱した口調で電話をしてきた。自治体が発表する警報などに注意を払い、一人で行動しないようにと助言をしたが、不安を和らげるような言葉をかければよかったと、電話を切ってから後悔した▼クマによる人身被害が各地で相次いでいる。5日時点で、過去最多だった2023年度の2倍となる13人が犠牲になった。うち半数は10月以降に発生している▼冬眠を前に餌を求めて人里や街中に出没するクマが急増している。過疎化や高齢化で耕作放棄地が増えた上、管理も行き届かなくなり、人間の管理下にあったはずの場所がクマの活動圏になってきていることも、人里に近づく原因だという▼箱わな不足が問題になる中、自衛隊が支援に乗り出す事態となった。だが現行法に縛られ、民間人の猟友会が最前線に立ち、自衛隊は後方支援に回っている。秋田県での支援活動は災害派遣ではなく、「土木工事等の受託」という任務での出動だそうだ▼活動に制限があろうとも、住民の安心など心理的な側面は大きい。少しでも不安が取り除けるような生活環境を整えてほしい。









