安藤ハザマとNTTは次世代通信基盤「IOWN」(アイオン)を活用し、最長1000キロ離れた場所から山岳トンネル現場の施工を管理する。現場を常時監視し、施工段階ではリアルタイムでより精度の高い掘削後形状確認や遠隔臨場検査を実現。供用後の維持管理段階でも変状や経年劣化を早期発見できるようにする。2026年3月までに実証を始める。
7日に発表した。アイオンを活用したトンネル施工管理の遠隔化、自動化方針について、国内外の企業や団体などが参加する推進団体「アイオン・グローバル・フォーラム」から建設業界で初めて承認された。当面は同団体に参画するAI・ネットワーク関連の企業などを想定し、実証に協働して取り組むパートナーを募る。
両社は大容量で低遅延通信を実現するアイオンAPN(オール・フォトニクス・ネットワーク)で接続されたネットワーク構成を前提に、山岳トンネル現場と最長1000キロ離れた発注者や施工者のオフィスなどから実現が見込める遠隔施工管理の取り組み案を整理。▽定常的な監視とデータ収集(遠隔監視)▽施工中必要時のデータ分析(遠隔解析)▽モバイル検査(遠隔臨場)▽通信ファイバーを活用した維持管理(モニタリング)-の四つを列挙した。
遠隔監視では、アイオンAPNを経由して現場の高解像度映像やセンサーで取得したデータを遠隔地に集約。専門家の目視だけに頼らず、AIによる自動分析で常時監視や早期の安全リスク検知を目指す。遠隔解析では、アイオンAPNを介し現場と遠隔処理環境を接続させる。大容量点群データの解析時間を大幅に短縮し、切羽周辺で時間をかけて実施している掘削後の形状確認を効率化する。
遠隔臨場では、アイオンAPNと取り回し可能な高精細カメラを活用する。地山の亀裂や湧水などの状況を確認したい時、検査者の着目点を正確に捉える検査の実現を目指す。モニタリングでは、施工中に組み込まれた光ファイバーなどをセンシングに転用。延長方向の任意箇所のゆがみ検知や加速度計測により、変状や経年劣化が常時監視できるシステムを構築する。