熊谷組が仮想空間の地図を使ってトラックの自動走行を制御・管理するシステムを開発する。AIで作成したグリッドマップに信号や標識などの情報を組み込む。地図に基づき、車両自身が走行の可否や速度制御を判断する。9、10月にも適用実験を実施。2026年3月にもダムなどの工事現場に導入する。将来的には、トラックだけでなく、複数の重機が協調して運行できるシステムの構築を目指す。
「仮想信号式車両運行管理システム」は、グリッドマップの格子ごとに組み込んだ仮想の信号や標識をAIによる交通管理サーバーで運用する仕組み。軟弱地や起伏地でも走破できるアーティキュレートダンプトラックを対象に性能検証を行っている。
地図情報に従って遠隔操作で走った経路を記録。その経路をたどって自動走行できる。サーバーへの負荷も軽く、スムーズな運行管理を実現する。グリッドは月1回の頻度で更新でき、注意点や通過速度などの追加情報を組み込める。
同社は4月に施工を手がけるダム工事の現場で、同システムを搭載したアーティキュレートダンプトラックの基本性能を確認する自動走行実験を実施。直線や楕円(だえん)、八の字といった経路に対する追従性を確認した。有人施工で土砂の積み込みや運搬などにこれまで6人必要だった作業が、同システム導入により3人で行えるようになったという。