関東地方整備局は、東京・東池袋のサンシャインシティ展示ホールCで19日に2025年度「建設技術フォーラム」を開いた=写真。テーマは「強靱な国土が私たちの暮らしを守る」。関東整備局や教育機関が防災・減災関連施策、最新の研究事例8件を発表した。
「建設技術展2025関東(C-Xross2025)」(日刊建設工業新聞社主催)との共催で、6回目の開催になる。主催者あいさつで関東整備局の橋本雅道局長は、デジタル技術で建設業の生産性を高めつつ、今後は「人間にしかできないことが価値として評価される」と指摘。首都直下地震を含む自然災害への備えとして、「技術で何ができるのかを考える機会にしてほしい」と呼び掛けた。続いて基調講演として、関東整備局が推進する国土強靱化施策を田中克直企画部長が説明した。
米沢拓繁荒川調節池工事事務所長は、埼玉県内で建設中の荒川第2調節池を取り上げた。ICTを活用して施工の省力化に取り組む調節池の工事で、「26年1月に大型施工機械を遠隔で操作する実証実験を世界で初めて行う」と明らかにした。
設立7年目を迎えた関東道路メンテナンスセンター(関東MC)の役割を説明したのは小川渉センター長。直轄橋梁の点検データを活用した「GISプラットフォーム」、自治体支援などを紹介した。
河川部の三好健次上下水道調整官は、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故に焦点を当てつつ、自治体への負担を考えると「上下水道インフラの広域化が進む」と説いた。道路部の小澤知幸道路企画官は「道路ネットワークの機能強化」と題し、3環状9放射の整備状況や事業化を目指す「新湾岸道路」の概略ルートを説明した。
辻野恒一国営昭和記念公園事務所長は、国営東京臨海広域防災公園(東京都江東区)を取り上げた。隣接するがん研有明病院と連携し、非常時は災害対策本部、平常時には防災教育の拠点になるとPRした。温品清司東京空港整備事務所長のテーマは「羽田空港の防災・減災」で、滑走路や誘導路に続き「エプロン部の耐震化に着手する」と表明した。
桑原祐史茨城大学大学院教授は公園管理業務の効率化を目指し、ドローン画像から生成AIで異常箇所を分析する技術を紹介。中村明生東京電機大学教授は、除草ロボットシステムの開発で研究成果を披露した。







