西日本高速道路九州支社は本州と九州を結ぶ開通後67年が経過する国道2号の海底トンネル「関門トンネル」(山口県下関市~北九州市門司区、トンネル延長3461メートル)について、20日に維持管理の様子を報道各社に公開した。換気用の設備や岩盤から発生する湧水の排水設備などについて稼働状況や老朽化の進行度合いなどを紹介。トンネル全体の今後の予防保全や更新に関する方針も説明した。
同トンネルは同支社が前身の旧日本道路公団から継承する形で、管理有料高速道路として管理を行っている。
同トンネルの換気では車道下の送気ダクトから新鮮な空気を送り込み、天井板上の排気ダクトを通じて換気塔から排出する「横流換気方式」を採用。設備としては送風機と排風機があり、4カ所の立坑に送風機と排風機をそれぞれ3基ずつ設置し、合計24基が常時稼働できるよう維持管理に取り組んでいる様子が紹介された。
海底トンネルであるため、同トンネル内では1日当たり約4800トンの湧水が発生している。維持管理では下関側と門司側の各立坑に設置された合計17台の水抜きポンプが20分ごとに稼働し、トンネル建設前に整備された調査用トンネルを活用した排水処理が常時進められている。ポンプ設備は設置から25年が経過し、海水によるさびで老朽化しているため、今後10年余りで更新期を迎える。
同トンネルは年平均約15億円かかる維持管理費を通行料金による収入で賄っている。今年9月末が期限だった徴収期間は修繕費用を確保するため、さらに20年間延長する方針が示されている。4月に公表された今後の維持管理・修繕に関する検討委員会の中間取りまとめでは、ライフ・サイクル・マネジメントを意識した予防保全の実施や、床版の一部更新などの必要性について有識者から提言を受けている。
同支社企画調整課の山本悠哉課長代理はトンネルの健全性維持には長期的な費用確保が不可欠であり、「今後の管理について、関係機関と引き続き調整していきたい」と話した。