背の高いひまわりを育てようと奮闘した、ある公園の担当者が教えてくれた。まずは、土を深くまで柔らかく耕し、種をまく。支柱を立て、朝夕の水やりを欠かさず、「大きくなって」と願いながら育てるのだという▼日本記録とされる高さ8メートルには届かなかったが、この夏も家族連れやカップル、友人同士が花を眺めたり写真を撮ったりと、多くの人が足を止めた。「見てくれる人がいると励みになります」と担当者。来年に向け、もう種の情報を集め始めているそうだ▼先週の土曜、東京・有明で3・11伝承ロード推進機構の報告会が開かれた。四つの施設の関係者が人気の有料プログラムなどを紹介。中でも、震災当時中学生だった担当者が語った「楽しんで学んでもらうことの必要性」は心に残った。つらい記憶を伝える難しさと向き合う、重い言葉だった▼取材後、施設の入り口に咲く大きなひまわりの前で、写真を撮る親子を見掛けた。「地震が来たらどうする?」と子どもが問い掛けていた▼各地の多様な活動が、防災意識を高めるきっかけになっている。災害を「自分ごと」として捉える動きが広がっていると感じた。