政府は、東日本大震災の東京電力福島第1原発事故に伴う除染で発生した除去土壌の一部を、東京・霞が関にある各省庁の敷地内で復興再生利用として活用し始めた。施工の様子を14日、報道陣に公開した。除去土壌の運送は中川運送(新潟県佐渡市)、施工は除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合(VOREWS)が担当した。
施工場所は厚生労働省や環境省が入る中央合同庁舎第5号館、経済産業省総合庁舎、中央合同庁舎第4号館前にある花壇の計3カ所。5号館前で使用した除去土壌は約5立方メートル。縦1・2メートル、高さ30センチで盛り、飛散や流出を防ぐため20センチ覆土した。
施工はもともとあった植栽と土を撤去した上で、除去土壌を投入。その上に覆土し再び植栽する流れで実施した。
福島県の大熊、双葉両町に中間貯蔵施設は、約1400万立方メートルの除去土壌を保管している。量は東京ドーム約11杯分に相当する。
4分の3は放射能濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下で、公共事業などでの再利用が可能とされている。残る土壌は減容処理などを経て、2045年3月までに県外での最終処分を完了させる必要がある。
政府が8月26日に開いた「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議」で、30年ごろまでの当面5年間を見据え、除去土壌の処分でロードマップを示した。
環境省の担当者は「中間貯蔵施設の敷地はもともと地元の思い出が詰まった場所だった。土地を提供して頂いていることを忘れてはならない」と述べ、復興再生利用の推進に意欲を示した。
浅尾慶一郎環境相は16日の会見で、「復興再利用に対する国民の皆さまの安心感につなげるため、今後他省庁での施工を速やかに行うよう準備する」と話した。