8月下旬、近所の公園で6年ぶりに夏祭りが開かれた。地下に大型の雨水貯留施設を造る工事のため、長く閉ざされていた場所だ▼工事が終わる来年3月までは立ち入りできないが、近隣の小中学校が夏休みに入る時期だけ現場が一時的に開放され、2日間の祭りは大勢の人で会場が埋め尽くされた。豪雨のたびに浸水が心配されてきた地域でもある。2期工事が完成すれば、約1万1000立方メートルの雨水を公園の地下に抱え込めるという▼一方で、今年の夏も台風15号以降の大雨で、各地は甚大な浸水被害を受けた。3連休もなお復旧や排水作業に追われる地域があり、被害の重さを実感させられる▼国土交通省が進める「流域治水」は、2級河川など都市部を流れる水系にも対象が広がった。突然の豪雨にどう備えるか--。中心市街地の安全が改めて問われている▼ただ公園の工事には、桜の巨木伐採や大幅な遅れへの批判が残る。それでも繰り返される浸水を前に、理解を示す地域住民の声があると聞く。被災地の一日も早い復旧を願いながら、私たち自身の備えをどう整えるべきなのか、これまで以上にしっかりと考えたい。