日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が「けんせつ小町委員会」を2015年4月に設置してから11年目を迎えた。業界を挙げて「けんせつ小町」の活躍を後押しする活動は定着。取り組みを新たな段階に引き上げるため、日建連は新5カ年計画を策定した。女性の活躍推進を基軸にしながら、多様性や公平性を重視する「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」の視点を取り入れ、活動の幅を広げていく。奥村太加典新委員長に今後の方針や展望などを聞いた。 =1面参照
--新計画の方針は。
「従来の女性活躍推進をさらに加速するとともに、DE&Iの観点を包含したい。10年の節目を経て、委員会は11年目に入った。従来の方向を大きく変えることなく、取り組みをより加速する。新計画は『女性管理職比率5%以上』『女性技術者比率12%』を数値目標に掲げた。現状からすると高いハードルだが、女性が働きやすい職場は男性にとっても働きやすい。業界全体で意識を高めたい」
--男女に関係なく企業の採用競争は非常に厳しい。
「現在の女性技術者比率は約8・5%。技術職は母集団の少なさから採用競争が激化している。建設業だけでなく、電力や鉄道などインフラ関連企業も土木・建築系の人材を求めている。コロナ禍だった頃はインフラ企業が採用を控えた分、建設業に追い風だった。だが、今は厳しい環境に戻っている。新卒採用で学部学科を問わず積極的に門戸を開いている会社もある。文系出身でも建設技術に挑戦したい人は少なくない。柔軟に受け入れる体制を整えることが必要だ」
--女性が働きやすい職場環境の整備をどう考える。
「女性用トイレや更衣室の設置率100%を目指しているが、都市部の狭小現場は課題が残る。特に建築工事は事務所スペースやコストの制約から、整備が遅れる傾向がある。現場で働く人たちは女性技術者や協力会社の女性技能者だけではなく、食事の配達員などもいる。現場に関わるさまざまな人が気兼ねなく利用できる環境が必要だ」
--学生にメッセージを。
「新しい計画では、女性だけでなく誰もが活躍できる環境としている。建設業は自然の中で働き、完成形が目で確認できる面白い仕事だ。社会を支える重要な仕事で、夢や希望を持ってぜひ入ってほしい。依然として男性が多い現場で女性が活躍することで雰囲気が変わり、チーム全体のパフォーマンスも高まる。育休取得率は男女を問わず100%を目標に進めている。トップの旗振りで迅速な制度の浸透を目指している。現場のトイレ整備などと同様、トップの呼び掛けで改善していく」。