新社長/人・夢・技術グループ・野本昌弘氏/市町村や民間からの受注拡大

2025年9月12日 人事・動静 [1面]

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 企業認知度を高める広報戦略に注力し、人・夢・技術グループの企業価値をさらに高める。次期中期経営計画では実現可能な目標を設定し、事業会社間のシナジー(相乗効果)創出を重視。防災・減災やインフラ維持管理などに照準を合わせ、市町村や民間からの受注拡大を目指す。
 --就任の抱負を。
 「人・夢・技術グループの全社員が誇りを持ち、安心して働けるようにしたい。最優先課題は認知度の向上だ。長大や基礎地盤コンサルタンツなどの持ち株会社としてのイメージではなく、人・夢・技術グループが何をする会社か誰もが分かるようブランディング戦略に注力する。年内にもグループのコンセプトワードを公表する。SNSもさらに活用していく」
 --経営戦略は。
 「今秋に新3カ年中期経営計画を策定して公表する。ここ数年、業績は堅調に推移しているが、現行の中期計画で設定した目標に届かない見通しだ。新中期計画では実現可能な目標を設定しつつ、挑戦的な取り組みも盛り込みたい。事業会社同士で積極的に人事交流する方針も打ち出す。互いの技術を深く理解し、シナジーを高めるような営業活動ができるようにしていく」
 --市場環境をどう見る。
 「引き続き防災・減災、国土強靱化関連が柱になる。ただ国の公共事業は国土強靱化実施中期計画が策定されたものの、中長期的な視点で見ると大きな伸びを期待するのは難しい。インフラの維持管理や防衛関連施設の整備も注視している。特に市町村では地域インフラ群再生マネジメント(群マネ)に基づく広域連携が相次ぎ計画・進行しており、民間のノウハウも必要になるだろう。防衛施設関連も環境影響評価(環境アセス)などに伸びしろがあるとみている。事業会社である基礎地盤コンサルタンツの顧客基盤を生かし、民間受注の比率を高める。必要に応じて地域コンサルタントとの資本・技術提携やM&A(企業合併・買収)も検討する」
 --新たな注力分野は。
 「グループ全体で培った技術やノウハウを生かし、河川や港湾、漁港、スマートシティー・コンパクトシティーなどの需要をより取り込みたい。特に漁港は能登半島地震の被災地で本格化する復旧を注視している」
 --人材戦略を。
 「長大では社員の女性比率を30%に高める目標を掲げる。グループ全体でも女性がより活躍できる環境づくりに一段と力を入れる。フィリピン・ミンダナオ大学と人材活用でさらに結び付きを強め、卒業生を社員として採用し人・夢・技術グループで活躍してもらいたい」。
 (12月24日就任予定)
 (のもと・まさひろ)1983年金沢大学工学部建設工学科卒、長大橋設計センター(現長大)入社。長大では取締役兼専務執行役員などを経て2021年12月から社長兼最高執行役員。人・夢・技術グループでは同10月副社長、24年12月代表取締役。「信じればできる」をモットーとする。趣味は海釣り。大阪府出身、65歳。