新社長/DNホールディングス・原田政彦氏、民間案件の受注体制強化

2025年9月24日 人事・動静 [1面]

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 2026年7月に次期中期経営計画がスタートする。好調な業績をさらに伸ばせるよう、民間受注に力を入れ公共発注量の減少に対応できる体制を整える。支社単位ではなく、技術分野単位でフレキシブルに案件を受注できる事業部制も取り入れる。新分野のM&A(企業合併・買収)やAIでのノウハウ伝承で技術力も高めていく。
 --経営環境をどう見る。
 「実行中の3カ年中期経営計画(24年6月期~26年6月期)の目標売上高を2年目で達成し業績は好調だが、受注高の8割を官公庁案件が占めているため、公共事業の減少に危機感を持っている。民間の受注体制強化に取り組んでいるが、効果が出るのに5~10年かかるだろう」
 --受注戦略を。
 「次期中期経営計画で民間受注をてこ入れする。高速道路会社などの橋梁の構造設計に注力する。事業会社の大日本ダイヤコンサルタントに統合されたダイヤコンサルタントは電力関連の地質調査を強みとしており、これを構造設計にも広げていく。再生可能エネルギー分野では、陸上風力発電の造成設計や、部材を運ぶ道路の設計の需要を取り込む」
 「自動車メーカーなどの工場の新設・更新事業にも参入している。先方の担当者にたどり着くのが難しかったり、専属の担当者がいなかったりなど道のりは険しいが、着実に取り組みたい」
 「フィリピンなどを中心に海外事業も推進する。橋梁の新設や維持管理の技術を必要とする発展途上国などは多い。息の長い取り組みになるが、現地法人の設立などを通して当社の技術を広め、貢献できればと思う」
 --社内体制をどう強化する。
 「次期中期経営計画が始まるのと同じタイミングで、現在の支社制を取りやめて技術分野ごとの事業部制を採用する。業務の受注や実施は支社単位で行っているが、それを全社で行うように切り替える。これまでは業務量が多い支社に人を多く配置する必要があったが、これからは配置換えをせず対応に当たれるようにする」
 --技術力向上も急務だ。
 「特定の技術分野でトップ位置にいれば、発注量が減る中でも存在感を示せる。トップ技術を持つ企業のM&Aも重要だ。常にアンテナを張って備えたい」
 「社内に蓄積されたノウハウの伝承などにAIを活用する。社長直下に約25人のメンバーで構成するDX戦略推進部を設け、そこで学識者をアドバイザーに招いてAIツール情報の収集や技術開発を行っている。今期はAIに関する勉強会を各支社で開き、知見を広めていく」。
 (9月26日就任予定)
 (はらだ・まさひこ)1985年金沢大学工学部土木工学科卒、大日本コンサルタント(現大日本ダイヤコンサルタント)入社。大日本ダイヤコンサルタントでは取締役兼専務執行役員などを経て23年から社長。DNHDでは21年執行役員経営企画本部長、24年取締役兼副社長執行役員。座右の銘は「なせば成る」。富山県出身、63歳。