7月に就任した国土交通省の鶴田浩久総合政策局長が日刊建設工業新聞社などの取材に応じ、「国交省の総合力を発揮し、より社会の役に立てるようにしたい」などと抱負を述べた。省内外と組織の垣根を越えた協力と連携を促進。内容を詰めている次期の社会資本整備重点計画を「将来にわたるインフラ整備の羅針盤」と位置付け、担い手不足や老朽化の進展など危機感を共有する。「前向きなメッセージが世の中に伝わるようにしたい」と意欲を示す。
これまで携わった交通・運輸分野を引き合いに出し、建設分野との共通点を見いだす。競争偏重の時代が限界を迎え、産業界は担い手不足などに直面。地域全体で交通網を構築していく必要がある。インフラ整備・維持管理が抱える課題も「根本は同じ」と指摘し、「どう持続可能にするかが問われている」との考えを示した。
インフラメンテナンスを地方自治体で広域連携したり、施設分野を越えて多分野連携したりする「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」は、持続可能性を高める有力な手段になる。重大な事故につながる老朽化問題への社会的関心が高まる状況を踏まえ、「今あるストックをどう生かしていくかに光が当たってきている」と認識する。「メンテナンスの仕事は今後も増える。地域を束ねるなど、大くくりで対応することが担い手の制約を乗り越えることにつながる」と語った。
次期重点計画は活力と強靱、グリーン、基盤・足腰の四つをキーワードに据える。前向きなメッセージの発信で念頭に置くのは、建設と運輸の両業界が共通して向き合った「2024年問題」への対応だ。「危機感を持ちつつ、前向きに解決していく。ピンチをチャンスに変えていく意識が大事だ」と訴える。