横浜市は、市西部地域の交通ネットワークを構築する。西部地域には鉄道路線など公共交通が脆弱(ぜいじゃく)な交通空白地域が存在する。市営地下鉄立場駅から相鉄本線瀬谷駅を経て、JR横浜線十日市場駅を結ぶ南北軸が対象エリア。相鉄線瀬谷駅と旧上瀬谷通信施設地区を結ぶ新たな交通システムを整備し、東名高速道路に新たなICを開設する。いずれも2030年代前半の供用開始を目指す。
新たなネットワークは主要地方道(市道)環状4号線の既存インフラ活用とバス線用道の新設、東名高速道路との交差部にIC新設などを想定する。対象エリアには環状4号線沿線の旭、緑、瀬谷、泉4区の総人口の約3割強(約22万人)が居住する。
エリア内には市営地下鉄、相鉄、JRの3社4路線が運行しているが、それらをつなぐ南北軸をカバーできていない。新たな交通ネットワークのグランドデザインでは▽鉄道路線とバスネットワークの構築▽持続可能な地域交通体系の構築▽環境先進車両導入などによる脱炭素化-などを計画している。
瀬谷駅~上瀬谷(旧上瀬谷通信施設)間は「次世代技術(自動運転・隊列走行)を活用したバス」による新たな輸送システムを導入する。瀬谷駅付近は道路混雑の影響を受けない地下シールドトンネルでバス専用道を整備する。26年度に事業認可手続きを進める。27年3~9月の国際園芸博覧会(花博)開催中に積算と工事発注を行い、28年度に工事着手する。総事業費は概算で約466億円と見積もっている。
新たなICは旧上瀬谷通信施設地区に整備する広域応援活動拠点と物流地区に直結する。広域アクセス性が向上し、日常的に混雑する横浜町田ICとその周辺道路の交通負荷を低減する。東名高速道路と直結することで新技術を活用した基幹的物流拠点の集積を図る。概算整備費は360億円程度を想定している。
8月には三菱地所と東急不動産、シーアールイーの3社が、同地区に関東初の「次世代基幹物流施設」建設すると発表した。2棟総延べ70万平方メートル規模で、東棟は27年秋以降に着工し30年ごろの竣工、西棟は28年ごろに着工し、31年ごろの竣工を予定している。