熊本県/空港アクセス鉄道・概算事業費は610億円に、上下分離方式でJR九州と合意

2025年9月24日 工事・計画 [9面]

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 熊本県は22日、JR豊肥本線の肥後大津駅(大津町)から分岐・延伸する阿蘇くまもと空港アクセス鉄道について、最新の概算事業費が約610億円になるとの見通しを示した。物価高騰の影響を踏まえた試算結果で、従来の公表結果(2022年度時点)と比べて約200億円の増額となる。別途、豊肥本線の複線化など機能強化に約60億円の経費が必要とした。JR九州との協議により、整備主体と営業主体を分ける上下分離方式の採用で合意したことも公表された。
 同日の県議会代表質問で、木村敬知事が答弁した。
 22年度に1日当たりの利用者数約4900人を見込んでいたが、需要予測の精緻化により約6500人になるとの見通しを示した。1を上回るのが事業化の目安である費用便益比(B/C)は従来の1・03から1・21に上昇し、十分な事業性が確保されるとした。今後は鉄道事業許可に向けた国との協議と並行し、整備主体となる法人設立の準備を進めていく。
 木村知事は「本県がシリコンアイランド九州の中心として、さらなる発展を遂げるために必要不可欠な事業だ」と強調。事業費の精査やJR九州との協議進展で、「空港アクセス鉄道整備のミッションは大きく前進した。27年度に整備に着手できるよう、全力で取り組む」と述べた。
 空港アクセス鉄道は全線単線の延長約7キロを想定。6月に幅約500メートルの範囲を対象としたルート帯案を示しており、肥後大津側から盛り土と高架橋で南下し、中間地点からトンネル構造で高遊原台地を通過し、空港南側の地上部に空港駅を設ける。26年度の都市計画決定を目指す。27年度以降に用地取得を含めた具体的な鉄道整備に着手し、34年度末の開業を予定している。