回転窓/リスケして出直します

2025年9月30日 論説・コラム [1面]

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 文化庁の2024年度「国語に関する世論調査」で、「にやける」の意味を「薄笑いを浮かべること」と答えた人が8割を超えたという。本来は「なよなよしている様子」だが、すっかり笑い顔のイメージにすり替わっている▼言葉は時代とともに変わる。とはいえ、意味の変化に「えっ、そうなの?」と戸惑うのは、年齢のせいなのか、単に感覚のアップデート不足なのか。言葉は生き物。変わっていくのが自然だ。でも度が過ぎると“伝える道具”が“迷わせる道具”になってしまう▼日本語は外来語も柔軟に吸収する言語。ビジネスの世界では「リスケ」「コンセンサス」「エビデンス」といった言葉が、波のように押し寄せてくる。でも「エンゲージメントが大事」なんて言われても、ピンとこない▼会議で「アグリーです」「コミットします」と真顔でうなずく人たち。そんな空気の中で、日本語とカタカナ語のあいだを右往左往していると、自分の足元がぐらつくような感覚になる▼これって、もしかして?、いやたぶん間違いなく…「ガチでエモい?」。書いてる本人がイミフなってきたので、リスケして出直します。