ユーチューブなどで再生数を稼ごうと、配信者が過激なパフォーマンスに走るケースが後を絶たない。先日も未調理のインスタント麺を大量に食べた未成年が死亡する事故が起きた▼注目を集めなければ膨大な動画の中で埋もれてしまう。それでも、軽率で無謀な行為が許されるわけではない。過激な配信の背景には、視聴者に認められたいという強い承認欲求が見える▼誰かに認められたいという思いは、ごく自然な感情だ。ただし、過剰になれば事件や事故を引き起こす。広大なネットの海で、きょうも危険な動画が生まれている。今や情報入手の中心はSNSだ。小中学生が自ら動画を投稿する時代になり、家庭の役割と責任はこれまで以上に重い▼オーストラリアでは16歳未満のSNS利用を禁止し、欧州連合(EU)も規制導入を検討中だ。日本でも愛知県豊明市が、子どもがスマートフォンを使う時間を制限する条例を1日に施行した▼個人の自由と保護のバランスをどう取るかは難しい課題だが、全国一律の規制が必要かどうか、社会全体で議論すべき時期に来ている。考える時間は、決して多くは残されていない。