回転窓/間違い探しの効用

2025年10月3日 論説・コラム [1面]

文字サイズ

 よく似ている2枚のイラストを見比べて違いを探す「間違い探し」--。全てを探せた時の達成感は気持ちいいが、難度が上がるとあと一つ、二つの違いを見つけられずに苦戦することも多い▼脳科学の専門家によると、間違い探しで脳は前頭葉の血流が増えて活性化する。これが注意力や記憶力、視空間認知力の向上につながるのだという▼自民党総裁選の投開票があす4日に行われる。総裁選はこの5年で3度目。国際情勢も大きく変化する中、今回のように首相がわずか1年の在任期間で交代してしまうのには疑問符を付けざるを得ない。政権運営に難題は多いが、こうした事態をなぜ招き、どこかに間違いがなかったのか▼物価高騰対策で有効な手だてを打てず、実質賃金も依然低迷している。明るい展望を持てる実効性の高い政策が展開されていくことへの期待は大きい▼少子高齢化時代にも経済が安定成長しながら、安全・安心の確保と産業振興に必要な社会基盤づくりが計画的に推進され、多様な働き方もできる持続可能な社会へ。これらの実現に向かわなければ、政治に対する間違い探しの目は一層厳しくなる。