東日本高速道路北海道支社は、北海道小樽市で施工している「後志自動車道小樽ジャンクションCランプ橋工事」で、北海道内では2例目となる多軸台車による橋桁の一括架設を採用した。地上で組み立てた1径間分の鋼製橋桁を多軸台車2台を使って一括架設する方法で、1日夜から2日未明にかけて実施した1回目の作業を報道関係者に公開した。
小樽市にある小樽JCTは、札幌方面と小樽方面をつなぐ札樽自動車道と、小樽方面と余市方面をつなぐ後志自動車道を接続するJCTで、現在は小樽方面から余市方面への移動はできず、そのほかの3方向の移動だけができる状況となっている。
そのため東日本高速会社では小樽JCTを全方向に往来できるフル化事業を実施しており、小樽市から札樽道を経由し後志道に流入して余市方面に向かえるCランプ橋の新設を進めている。
Cランプ橋は11径間連鋼・コンクリート混合箱桁橋で、橋長は641メートル(鋼箱桁191・5メートル、PC箱桁449・5メートル)、有効幅員7・6~6・7メートル。施工は五洋建設・ピーエス・コンストラクション・横河ブリッジJVが担当し、工期は2019年8月31日~27年1月20日となっている。
今回実施した多軸台車一括架設は、別ヤードで地組みした橋桁を多軸台車を使用して一度に架設する方法。施工箇所のA1橋台~P1橋脚間は、供用中の札樽道をまたぐ区間で、通常の方法では現地にクレーンや橋桁の組み立てスペースを確保する必要があり、数日間の通行止めが余儀なくされる。このため通行止め期間を短縮する方法として同方法を採用。道内では同じく東日本高速北海道支社が17年に実施した小樽JCTのBランプ橋に続いて2例目となった。
架設作業では、地組みヤードで長さ80メートル、高さ2・8メートル、重量434・5トンの橋桁を多軸台車2台に載荷し、架設箇所のA1橋台からP1橋脚間まで約360メートルを移動。P1橋脚側で、架設済みのP1~P2橋脚との断面が合うように旋回を繰り返しながら位置・角度を調整し完成時より150ミリほど高い位置で仮固定した。
工事を担当する東日本高速北海道支社札幌工事事務所の中嶋健壮工務課長は「一般国道5号や小樽市で災害が発生した場合の代替路としての役割も期待される。少しでも早く安全に工事を進めて、小樽から余市の発展に寄与していきたい」と意欲を見せた。
今後は10月8日に2度目の夜間通行止めを行い、仮止めしている桁をジャッキダウンして既設桁と接合させる。