地球温暖化に伴う気候変動の影響で大阪湾沿岸の防潮堤や岸壁の計画天端高が不足する恐れが確認され、兵庫県域では尼崎西宮芦屋港で最大3メートル以上、大阪府域の泉州沿岸で最大2・6メートル以上のかさ上げが必要になることが分かった。大阪港湾局と兵庫県が3日、大阪湾沿岸海岸保全基本計画の変更原案を公表した。2020年10月に国で変更された海岸保全基本方針を踏まえ、現計画を見直し、段階的な対策へ具体整備の検討に入る。
見直しは2100年を想定した気温上昇2度のシナリオを基準に、高潮や波浪、津波の影響を総合的に評価。伊勢湾台風級の規模が18年台風21号と同じコースを通過した場合を条件に加え、地区ごとの必要天端高を算定し直した。
兵庫県域では、主に尼崎西宮芦屋港の芦屋市・西宮市エリアで天端の現況値と計画値のずれを確認。南芦屋浜で「1・2~3・3メートル」、芦屋浜で「0・9~2・5メートル」、甲子園で「3・1メートル」、鳴尾川河口で「「1・1~2・9メートル」、甲子園浜で「1・4~3・6メートル」の不足が生じるとされた。
兵庫県では別途、但馬と淡路、播磨の3沿岸でも海岸保全基本計画の変更を行う。
大阪府域では最北端で淀川以北に位置する布屋海岸を除く、北側から順に大阪港海岸(大阪市域)で「0・3~1・1メートル」、堺港~石津川右岸で「1・2~1・5メートル」、石津漁港~泉北港で「0・0~1・6メートル」、忠岡港~岸和田港で「0・0~2・1メートル」、貝塚~二色で「0・0~0・5メートル」、泉佐野~岡田で「0・0~2・6メートル」、尾崎~下荘で「0・0~1・4メートル」、淡輪~小島で「0・0~2・4メートル」の不足が確認された。
今後は気候変動の影響を踏まえ、段階的に防潮堤や防波堤のかさ上げ・補強による防護機能の確保といった対策に取り組む。消波ブロック被覆や養浜など自然要素を活用した多重防護の考え方も導入する。水門や陸閘の耐津波性能向上、遠隔・集中管理化も進める。
区域別では大阪港海岸で防潮堤の改良・かさ上げ、堺港・堺泉北港で液状化対策を含めた総合的な施設強化、泉州南部では不足量が大きい区間を中心に自然環境と両立する対策を進める。