大林組は10日、独自の低炭素型コンクリート「クリーンクリート」を適用したプレキャスト・プレストレストコンクリート(PCaPC)床版を開発したと発表した。一般的なコンクリートと比べ初期強度の発現が遅い課題を材料配合や養生条件の工夫で克服。従来と同等の製造サイクルとコストを実現した。従来のPCaPC床版と比べ製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を67%削減する。
PCaPC床版は製造時にプレストレスを導入するため、コンクリートに十分な強度の発現が必要となる。だがクリーンクリートは初期強度の発現が遅く、工場で生産するPCaPC床版の製造サイクルが長くなる課題があった。
「クリーンクリートPC床版」は、高炉スラグ微粉末や早強ポルトランドセメント、特殊混和剤を使い、蒸気養生も行うことで初期強度を確保。一般的なコンクリートと同等の製造サイクルを実現し、製造コストも従来と同水準に抑える。
高炉スラグ微粉末を配合することでコンクリートの硬化体がより緻密になり、塩化物イオンの浸透を抑制。海岸沿いや降雪地域に設置しても、海水の飛沫(ひまつ)や融雪剤に含まれる塩分によるコンクリートの劣化を防ぐ。塩化物イオンの見かけの拡散係数が一般的なコンクリートと比較し約6分の1に低減されており、塩害環境下でも床版の長寿命化に寄与する。
同社はクリーンクリートPC床版の技術を活用し、橋梁リニューアルでの低炭素化を推進。インフラの長寿命化と環境負荷の低減を両立させる。今後も低炭素型資材の活用工事を積極的に提案し、安全・安心なインフラ整備とカーボンニュートラルの実現に貢献していく。