ミライト・ワンら/NTN活用しダム管理/石川・能登で実証

2025年11月26日 技術・商品 [3面]

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 NTTドコモビジネスとミライト・ワン、国際航業の3社は、石川県珠洲市の小屋ダムで非地上系ネットワーク(NTN)を活用し、ダム堤体の変位や貯水池周辺設備のひび割れなどを遠隔点検する手法を実証したと25日発表した。地上から約20キロの成層圏に滞空させる航空機を基地局に使う広域通信サービス「HAPS」を利用。「ダム管理DX手法」と銘打ち、現地に足を運びにくいダムの維持管理を省人化しつつ質を高める。
 NTTドコモグループと石川県が2024年11月に結んだ連携協定に基づく「能登HAPSパートナープログラム」の一環。NTNを生かした災害復興などを目的とし、今回の実証が初弾となる。同1月の能登半島地震では通信基地局が被災し、山間部にあるインフラ施設の状態が把握できなくなった。小屋ダムは鵜飼川にある堤高56・5メートル、堤頂長240メートル、有効総貯水量270万トンの中央コア型ロックフィルダム。1993年に完成し、石川県が管理している。
 実証では約1~2ミリの変位が計測可能な高精度センサーを活用。堤体の常時監視や3D点群データの作成、ドローン撮影画像のAI判読などが可能なことを確かめた。NTTドコモビジネスが衛星通信サービス「スターリンク・ビジネス」と米スカイディオのドローン遠隔監視、ミライト・ワンが自営無線LANの構築と人物検知AIカメラの提供、国際航業がGNSS(全球測位衛星システム)自動変位計測サービス「shamen-net」の運用を担った。
 3社は共同事業に向け、確立した手法に地上の監視カメラやSAR衛星(合成開口レーダー)を一体化したインフラモニタリングの実用化を目指す方針だ。