国土交通省は「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」の全国展開に向けた「手引」を公表した=画像は表紙。インフラ老朽化の進行でメンテナンス需要が増大する中、マンパワー不足に苦慮する地方自治体を対象にした処方箋の一つとして群マネの導入を働き掛ける。小規模な市町村を念頭に導入検討の支援ツールを充実させるなど、初めの一歩を踏み出すまでを「手取り足取り」解説する内容。全国で自治体向けに説明会を開くなど、群マネの普及に本腰を入れる。
群マネは自治体の枠や、道路や河川などインフラ分野の枠を飛び越えたマネジメント手法の総称。従来の包括的民間委託の領域を超えた広域・多分野連携の実現方策について、先行事例を交えて一から解説する指南書として手引を用意した。
群マネを支える考え方として、あらゆるものを「束ねる」有効性を指摘。連携対象となる枠組みの中で業務のプロセス・時間軸の統合やデータ共有を図り、工事・業務を受注する民間事業者間の連携体制も構築することでスケールメリットや創意工夫を発揮する。
手引は「入門超百科」と題し、群マネの概念や類型、実施方法を丁寧に解説する。初めの一歩として自らの自治体の現状を分析し、個々の「悩み」や「危機意識」を他の部署や自治体と共有するアクションを促す。
群マネの具体化には地元の建設業界など事業者側の理解が不可欠との考えから、民間の作業効率化や技術力向上、持続的な雇用・設備投資につながるメリットも発信する。目的に応じたサウンディング(対話)調査の類型化などで官民の適切なコミュニケーション方法を提示する。
各自治体の現状把握や群マネ効果の試算などに役立つツール、先行事例の協定書や発注図書のサンプルなどを「付録編」に整理した。特設ホームページ(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/gunmane.html)で関連情報を公開する。
手引は「Ver.1」と位置付け、内容を順次拡充する方針。国交省が支援する11件のモデル地域(計40自治体)の成果を年度内にもまとめ、既存事例の乏しい手法を解説するVer.2の検討に生かす。