労政審専門委/委員ヒアリング/熱中症対策ルール化など要望

2025年10月16日 行政・団体 [2面]

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 労働政策審議会(労政審、厚生労働相の諮問機関)の職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会(勇上和史座長)は15日、2026年度からの第11次建設雇用改善計画の在り方について議論した。担い手確保や処遇改善、熱中症対策などでさまざまな提案があった。厚労省は雇用改善の取り組みとして、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用促進を明確に位置付ける考えを表明した。 =1面参照
 この日は、電力関連産業労働組合総連合(電力総連)、日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)、全国建設業協会(全建)から必要な取り組みをヒアリングした。電力総連の意見は同委員会の横澤香代子委員が表明し、担い手確保のために全工程の週休2日と適正工期の確保に官民で取り組むよう求めた。熱中症による死亡災害のリスクが高まり、「企業や受注者の判断、個人の努力では限界」と指摘し、作業の中断・中止、工期延長などを判断できる環境整備を求めた。機械化、ロボットなどの先進技術の導入を促す支援の検討も申し入れた。
 基幹労連の意見を発表した高橋直柔委員は、若年者や女性の入職・定着、熱中症対策の支援を要請。産業別最低賃金の設定とCCUSの機能を生かした賃金改善、定着率を高めた企業の総合評価方式での加点などを求めた。女性労働者を増やすため、技術者の実務経験や直近要件の運用を柔軟にすることも必要だとした。熱中症対策は、作業中止のルール化と発注者の安全配慮義務の明文化を要望した。
 全建は必要な取り組みに▽柔軟な働き方▽退職金の増額▽CCUSの活用▽月給制への移行-を挙げた。屋外労働が多く、天候が見通せないことなどから、変形労働時間制の利用に伴う勤務カレンダーについて、30日前までの設定を「事後適用またはせめて前日適用」に改めるよう提案した。建設業退職金共済制度(建退共制度)への複数掛け金制度の導入で、退職金1000万円超を目指すことや、CCUSの登録機能を活用し、携行を不要にする資格者証をさらに拡大することも求めた。建設業の派遣禁止が「月給制導入の支障になっている」として、建設業務労働者就業機会確保事業の手続きの見直しや対象の拡大も要望した。
 会合で岩田正吾委員は、勤務カレンダーの設定の見直しや、建退共制度の複数掛け金導入に賛意を表明した。厚労省はCCUSに関し、現行の改善計画でも活用を促しているものの、第11次計画では「大きな項目として活用促進、取り組みが進むよう盛り込む」と対応を説明した。