熊谷組/AI活用で最適なトンネル発破パターン提案/迅速に支援情報提供

2025年10月20日 技術・商品 [3面]

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 熊谷組はトンネル発破工事でAI技術を活用し、地質評価に基づき発破仕様を自動設計するシステムを開発した。切羽を観察し、地質条件に応じた最適な火薬量や発破パターンを提案。施工結果のデータ化や視覚的表示といった見える化機能も備える。アプリケーションでの簡単な操作で、リアルタイムに支援情報を提供する。今後、現場で実証実験を行い、導入効果を確認する予定だ。
 発破工事の次世代支援システム「BLAIVE(ブライブ)」は、地質評価データと設定余掘り量を入力すると、火薬量や穿孔本数、外周孔穿孔本数を算出し発破パターンを最適化する仕組み。施工結果のフィードバックやAIモデルの継続学習など、データに基づく改善、改良を続ける。
 今回は道路トンネル工事を対象に、写真測量で余掘り量や火薬量、地山評価結果などのデータを蓄積。現場で運用可能な専用アプリを作成した。アプリを地質や断面積の異なる条件のトンネルに試行導入し、熟練技術者との比較でシステムが有効かどうか確認している。
 切羽ごとに最適な発破パターンを選定して余掘り量を減らし、施工品質の向上につなげる。熟練技術者の経験値によらない評価を可能にする。ノウハウのデジタル化で技術継承を支援し、経験の浅い技術者の早期育成を見込む。
 将来的にはトンネル掘削作業の自動化を見据え、地山中の亀裂の方向性を加味した評価やAIによる地山自動判定など機能を拡張し、評価を高度化する予定。重金属含有土処理量の低減など掘削作業中の環境負荷軽減にもつなげる。