兵庫県は21日、「県庁舎のあり方等に関する検討会」(会長・嘉名光市大阪公立大学大学院教授)を開き、県本庁舎(神戸市中央区下山手通5ほか)の現在地建て替えに向けた基本構想案を提示した。3月に閉館した交流拠点「県民会館」との合築などで施設のコンパクト化を図り、新たな整備面積を約6万4000平方メートル、整備費を約650億円に圧縮。2021年に事業中断していた従前計画では、現在の物価水準で1010億円まで膨らむとされていた。今後、12月にも基本計画策定支援と基本設計の委託先を一括で決める公募型プロポーザルを公告する予定だ。
耐震性に課題がある現1号館と2号館、別館、西館、議場棟を解体し、西側の1号館跡地に新庁舎を整備する。東側の3号館は改修を行い継続使用する。敷地中央の2号館跡地は民間活力の導入によるにぎわい・交流空間の創出を想定している。
新庁舎の必要面積は従前計画から約30%減の約9万2000平方メートル(うち現3号館が約2万8000平方メートル)。内訳は庁舎機能が約6万3500平方メートル、議会が1万1500平方メートル、県民会館を引き継ぐ県民交流部門が約6500平方メートル、駐車場は約1万0500平方メートル。県民交流部門はホールやギャラリーなど必要機能を最小限にとどめつつ、入居する外郭団体の見直しなどで規模を約60%圧縮した。
新庁舎は多様な働き方に対応可能な執務環境を確保。建物はZEB化を前提に、県産木材の活用などカーボンニュートラルや環境負荷低減への貢献を目指す。
2号館跡地のほか、隣接する県民会館跡地や県公館敷地なども民間提案エリアとし、エリア全体の回遊性創出を図る。25年度内にサウンディング(対話)型市場調査を行い、聴取意見を新庁舎基本計画に反映させる。
整備費のうち約90億円は補助金などを活用するため、県の負担額は実質約560億円となる。このほか、仮移転や新庁舎備品導入など関連経費に約160億円を想定している。
26年度に基本計画、27年度に基本設計をまとめる。実施設計を経て順調に工事が進めば、30年代前半ごろに完成する予定だ。