土木や建築などの施工管理技士は、受験資格がたびたび見直されてきた。その一つが学歴による制限である。現在は学歴差を撤廃した受験資格の適用で、受験者が増えた資格もある▼学歴制限の問題は、1998年5月の衆院決算行政監視委員会でも取り上げられた。当時、ある議員が見直しを強く求めた。背景には、江戸時代の目安箱にも通じる“声に耳を傾ける政治”の姿があったと思う。時が流れても、民意をくむ制度の大切さは変わらない▼日本の政治は新たな局面に立つ。自維連立政権が発足し、国土交通大臣には自民党の金子恭之衆院議員が就任。公明党の離脱を経て、自民党からの起用は16年ぶりとなった▼高市早苗首相の政権運営は、維新との連立合意書をどう生かすかが焦点となる。課題山積の状況で手腕への期待は高まるばかりだ▼合意書には議員定数の削減も盛り込まれた。多いか少ないかは議論の余地があるにせよ、議員が減れば民意をくむ機会も減ることになる。学歴制限の見直しを求めたのは、当時まだ当選2回の高市氏だった。民意と政治の折り合いをどうつけるか--新政権の歩みに注目したい。