東京都は、伊豆諸島での浮体式洋上風力発電の早期実装を目指す。専門家を交え、メリットや課題などを整理。地域研究会や検討会を通じて、実現に向けた施策を検討していく。伊豆諸島沖では5海域が国の再エネ海域利用法に基づく準備区域に指定されている。都は脱炭素だけでなく、島しょ部のエネルギー地産地消にもつながるとして、長期計画「2050東京戦略」にも位置付け、実現を急ぐ。
6月に国が伊豆諸島の▽東京都大島町沖▽東京都新島村沖▽東京都神津島村沖▽東京都三宅村沖▽東京都八丈町沖-の5海域を準備区域に指定した。都は伊豆諸島沖の領海約2万平方キロが「年平均風速毎秒9・0メートル以上で全国トップクラスの風況」であるとして、浮体式洋上風力の好適地と評価している。
加えて島しょ部は電力を島内の火力発電所に依存しており、燃料価格の高騰や災害などで長期停電につながる懸念もある。都は洋上風力が実現すれば「化石燃料に依存しない電力供給の安定化とレジリエンス向上に寄与する」と見る。維持管理などを通じた島しょ部経済への貢献や観光資源化にも期待を寄せる。
都は2024年度末に策定した「2050東京戦略」と「ゼロエミッション東京戦略 Beyond カーボンハーフ」で、35年までに洋上風力発電1ギガワット導入を目標に掲げる。専門家による東京都再エネ実装専門家ボードで、実装に向けた議論を深めていく方針だ。
既に伊豆諸島各地で、自治体や漁業者を交えた地域研究研究・検討会を立ち上げ、住民説明会も実施している。10月には希望者を対象に先行地域である長崎県五島市沖の洋上風力視察会を開いた。生物基礎調査や漁業実態調査にも着手している。現地で開いている子ども向け環境学習イベントには12日間で延べ1194人の参加者があった。
都の推進姿勢を受け、国も新島村沖と神津島村沖の2区域で日本版セントラル方式による調査実施を決めた。国のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が一括して基礎調査を実施し、案件形成を後押しする。










