士会連合会、JIA/新資格制度創設へ25年内にも基本合意/教育期間を国際基準に

2025年11月11日 行政・団体 [1面]

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 国際基準に準拠した新しい建築資格制度の創設に向け、日本建築士会連合会(士会連合会、古谷誠章会長)と日本建築家協会(JIA、佐藤尚巳会長)の議論が大詰めを迎えている。両団体がそれぞれ運用する資格制度を維持したまま、5年以上の建築教育という国際的要件を満たした者を基本的な対象とする新資格を共同で立ち上げる方向で最終調整中。年内をめどに合意書を交わし、詳細を詰めていきたい考えだ。
 7日に千葉市内で行われたJIA建築家大会のトークセッションに古谷、佐藤両会長が登壇し、議論の進展状況を明かした。
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)と国際建築家連合(UIA)が制度化した建築教育プログラム認定は、教育期間を「5年以上」と明記。これに日本は大学の学部4年と、大学院2年を合わせて対応しなければならない。だが士会連合会の「専攻建築士制度」、JIAの「登録建築家制度」はともに日本の建築教育を要件とする建築士制度をベースに構築されている。
 古谷会長は「国際的認証を得るためのネックになっているのが学歴要件だ」と指摘。新資格について「大学院修了者を基本的に対象とする。(該当しない者は)個別にそれ相応の実績などで認証していく」との方向を示し、両団体の議論が「最終的な合意点に近づいている」と話した。
 佐藤会長は「教育課程でいろいろな面を学び、実務経験で養った社会全体を考えながら判断する能力を身に付けているのが建築家だ」と強調。大学院を修了していない場合、「実績などを評価し同等とすることで認証していく」とし、古谷会長と考えが一致した。
 UIAは▽専門性▽自律性▽委任▽責任-の四つをプロフェッショナリズムの原則に掲げている。新資格について佐藤会長は「JIAが大事にする4原則を認識した内容にしたい」と加えた。
 日本ではアジア太平洋経済協力会議(APEC)域内で国際的に活動できる資格「APECアーキテクト」が運用されている。この資格は1級建築士で取得できるため、古谷会長は「将来的には良い形で収束させたい」との考えを示した。
 トークセッション後に会見した佐藤会長は「年内をめどにこういうイメージの資格を創るという合意書をまとめたい。その後、判断基準や認定機関など詳細を詰めなければいけない。1年ぐらいはかかるだろう」と展望した。