青森県、鹿島/AIが橋梁点検支援/損傷検出・区分評価や健全度診断

2025年11月18日 技術・商品 [3面]

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 青森県と鹿島は、橋梁の定期点検をAIが支援するシステムを開発した。点検技術者が撮影した損傷箇所の画像をAIが識別し、損傷の範囲や程度の検出・区分評価や健全度診断を支援。技術者の能力や経験でばらつきが出ない正確な診断が可能になる。システムの普及で点検技術者の担い手不足を補完し、点検の精度を高める。
 新システム「BMStar_AI(ビーエムスター・エーアイ)」は、2006年に共同開発した橋梁アセットマネジメント支援システムのビーエムスターの機能を一部活用。AIとビーエムスターに蓄積された点検データなどを活用し、橋梁点検を支援するウェブシステムになる。
 ビーエムスターに長年蓄積してきた熟練の点検技術者による橋梁点検データを、AIの教師データにしている。橋梁の定期点検では現地でスマートフォンやタブレット端末で新システムを活用して損傷箇所を撮影すると、診断結果が表示される。コンクリート橋の場合、撮影画像からAIがひび割れや剥離、鉄筋露出、漏水・遊離石灰の損傷を検出・区分評価して、健全度診断の結果を即時に表示する。
 鋼橋の場合、損傷箇所の画像から健全度診断を直接実施して結果を表示。カメラなどで撮影した複数枚の画像を一括で読み込み、診断することもできる。
 新システムは、青森県が管理する橋梁の定期点検で運用している。コンクリート橋の剥離・鉄筋露出や漏水・遊離石灰の検出と区分評価については、国土交通省の橋梁定期点検要領、健全度診断は同県の評価基準に基づいて実施する。このうち剥離・鉄筋露出や漏水・遊離石灰の検出と区分評価は同省の点検要領に沿っており、全国のコンクリート橋の定期点検に適用可能。鹿島のグループ会社、リテックエンジニアリング(東京都港区、田中篤社長)が販売している。