回転窓/夕焼けの島、クルーズ船の影

2025年11月27日 論説・コラム [1面]

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 今月はじめの宮古島(沖縄県)では、平良港に着岸したクルーズ船と、島内を行き交う観光バスが目を引いた。宮古そばから白濁の豚だしそばまでそろう名店や量販店は、観光客で活気に満ちていた▼晴れ渡った日は、夕日スポットの漁港に多くの訪日旅行者が訪れる。きらきら光る海の向こうで雲に沈んでいく太陽。次は「日本の夕焼けはどう映りますか」と感想を聞いてみたくなる▼その島の風景が変わるかもしれないと、配信記事が伝えていた。中国国営系の大型クルーズ船が着岸を避け始めたという。台湾有事を巡る高市早苗首相の発言に対する、中国政府の姿勢が背景にあるとされる▼宮古島の域内観光客は昨年度、過去最高の119万人に達した。欧米や中国以外のアジアからの来訪者も増えている。特定の国に依存しない経営を掲げる宿やツアー会社もあり、島内にはクルーズ船の影響は限定的との声も▼総合経済対策の裏付けになる補正予算案を、政府が28日にも決定する。国力や経済を外交カードに使う国に、自らの立場を明確に示すことも求められる。国土強靱化や観光振興を盛り込んだ対策への期待は膨らむ。

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