回転窓/街道と街の魅力

2025年11月25日 論説・コラム [1面]

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 天下統一を果たした徳川家康は、多くの大規模インフラ事業を行ったことでも知られる。江戸を起点にした「五街道」もその代表格であり、物や情報の流通に大きな役割を果たし、街道の要所に設けられた宿場は人と地域がつながる交流拠点であった▼五街道のうち江戸と日光(栃木県日光市)を結ぶ日光街道で、最初の宿場「千住宿」(現在の東京都足立区)が今年、開宿400周年を迎えた。地元ではさまざまな記念イベントが展開されている▼千住宿は陸運と舟運の結節点としても栄えたものの、明治維新を迎えると宿場制が廃止に。これで活気を一度失うが、1896年に日本鉄道土浦本線(現JR常磐線)北千住駅が開設されて地域のにぎわいを取り戻す。そして、現在の北千住駅には4社5路線が乗り入れ、全国のターミナル駅でも上位の乗降客数を誇る▼リクルートが調査した「SUUMO2025年穴場だと思う街(駅)ランキング首都圏版」の1位は8年連続で北千住。交通の利便性が高いだけでなく、下町情緒を残しつつ駅前開発などが進み、物価の割安感もあり、暮らしやすい街には人を引き付ける魅力がある。

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