仲間とは、不思議な存在だ。家族ほど近くはないのに、他人よりずっと心が寄り添う。思いやりは暖かな風。けれども、ぬるま湯のような安らぎだけでは帆が立たない。優しさの中に、厳しさを忍ばせることが大切だ▼若い人は軽やかに未来を描き、年上は経験という地図を広げる。考え方がぶつかることもあるが、それは船の左右にかかる風のようで、揺れがあるからこそ帆は立つ。違いは、前へ進むためのかすかなうねりだ▼世代の差を「壁」と感じる日もある。しかし、耳を澄ませば言葉の奥に思いが潜む。視点を少しずらせば、壁は静かに橋に変わる。相手の地図を借り、波間をそっと覗きながら進むのが鍵だ▼厳しいひと言に胸が痛む日もある。でも、それは「仲間だと思っている」証かもしれない。優しさは背中を温め、厳しさは足元を固める。どちらかだけでは、長い航路を乗り切れない▼同じ船に乗った仲間が、思いやりと厳しさをほどよく混ぜ合わせたとき、チームは前へ進む。一人で見る夢は小さくても、みんなで描けば光となり、波間に揺らめきながら夜明けを告げる--仲間は、そんな力を届けてくれる。







