建設業向けにICT活用の助成制度がある都道府県・政令市が約4割に達することが、国土交通省の調査で分かった。ICT建設機械や既存建機に後付け型のICT機器だけでなく、3D設計ソフトや施工管理システムの導入を支援する自治体もあり、現場施工だけでなくバックオフィス業務の生産性向上にも寄与している。費用面の支援でなくとも、約9割の都道府県・政令市は建設業向けにICT活用の研修・人材育成に取り組む。自治体内に専門部署を設置し、建設分野のDXを後押しする動きも活発になっている。
ICT活用の助成制度があるのは、▽岩手▽宮城▽秋田▽福島▽埼玉▽東京▽神奈川▽福井▽京都▽島根▽広島▽香川▽愛媛▽高知▽佐賀▽熊本▽大分▽宮崎▽鹿児島-19都府県と、▽札幌▽仙台▽川崎▽さいたま▽堺▽北九州▽熊本-の7政令市。
ICT建機や後付け機器、3D測量機器などの購入やリースを支援する助成制度が多い。県内の中小企業などを対象とし、ハード機器であれば数百万円を上限に導入費用を補助するケースがある。ICT機器の操作研修や実地訓練の開催費用を負担する自治体もあり、設備投資と人材育成の両面で支援する動きがある。
導入自治体ではICT活用工事の作業時間・人数・工数や、時間外労働時間の削減状況などを測定し、生産性向上や労働環境改善の効果を確認するケースが多い。建設業者・建設業従事者へのICTの浸透や、自団体で発注するICT活用工事の適用範囲の拡大につながっているとのメリットも挙がっている。
ICT活用の研修・人材育成に取り組むのは都道府県・政令市の全67団体のうち60団体。建設業関係者向け研修は54団体と大多数を占めるが、市区町村職員など公共発注者向けの研修も36団体と半数を超えている。ICT活用の専門家やアドバイザーの派遣も8団体が取り組む。
ICT活用や建設分野のDXの旗振り役となる専門組織・職員を設けているのは、▽栃木▽埼玉▽東京▽静岡▽三重▽兵庫▽島根▽広島▽山口▽香川▽長崎-の11都県とさいたま市。いずれも直近5年で体制を整えた。
自治体内部と地元業界の双方にアプローチする手段となっており、官民が連携したICT活用の普及や人材育成の促進につながっているという。







