愛知県/あいち下水道経営ビジョン2035案公表/「次世代への継承」を位置付け

2025年12月8日 行政・団体 [7面]

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 愛知県は5日、「あいち下水道経営ビジョン2035」案を公表した。現行の下水道ビジョンと流域下水道経営戦略を見直し、両計画を統合した新ビジョン。事業の重要性のPRや人材育成などの課題に対応するため、下水道の役割に「次世代への継承」を新たに位置付け、四つの役割と八つの施策で事業を推進。地震対策ではマンホール浮上対策に取り組み、計画期間中に50カ所で対策を講じる。経営戦略では、建設改良費の平準化を考慮し年間約180億円を計上する。
 能登半島地震による被害や埼玉県八潮市の道路陥没事故などを受け、下水道に対する社会的関心も高まっている。一方、現行の下水道ビジョンが中期目標年次(2025年度)を迎え、流域下水道事業経営戦略も中間年度を迎えることから、見直しに合わせ両計画を統合した。
 新ビジョンでは、下水道の役割を▽快適な水環境の創造▽安心・安全なまちづくり▽地域社会への貢献▽次世代への継承-の四つとした。新たに追加した次世代への継承では、「下水道事業の情報発信」と「持続的な経営に必要な人材確保・育成」を実現のための施策とした。下水道の役割や重要性、魅力を戦略的に発信するほか、県と自治体、民間企業が連携し専門分野の枠を超えて業務のノウハウが共有できる仕組みを構築する。
 下水度普及率は82・1%(24年度実績)から86・3%、処理場とポンプ場の耐震化率は79・5%(同)から90・3%にアップさせる。大規模地震等の災害発生時の緊急輸送道路の通行機能を確保するためマンホール浮上対策も進める。下水管路の改築では、管路の複線化など代替機能の確保も検討する。
 上下水道が一体となった災害対応訓練、DXを活用した情報の共有化にも積極的に取り組むほか、スケールメリットを生かし効率的な管理を行うため広域化・共同化計画に基づく施設の統廃合、経営の広域化、官民連携も推進する。