国土交通省は公共建築工事の積算基準を改定し、労務費や材料費の内訳が把握可能な新しい方式の積算単価「単位施工単価」を導入した。材工一式の「市場単価」を採用している工種のうち鉄筋と型枠の両工種で先行的に取り入れ、直轄営繕工事で2026年1月以降に入札手続きを開始する案件に適用する。労務費の内訳が不透明だった市場単価を見直し、公共工事設計労務単価相当の適正な労務費が反映された予定価格を設定する狙いがある。=2面に関連記事
中央建設業審議会(中建審)が2日勧告した「労務費に関する基準(標準労務費)」と連動した対応となる。市場単価は民間工事が大半の建築工事の実勢価格が反映されており、労務費部分に適正額が含まれているかどうか把握が困難だ。新しい方式では設計労務単価に歩掛かりを乗じて労務費を算定するなどの積み上げ式の積算に変わる。
官房官庁営繕部が22年度以降、各工種の専門工事業会社などの協力を得て市場単価の適用工種で順次、歩掛かり調査を開始。先行的に調査結果が固まった▽鉄筋▽ガス圧接▽型枠-の3種類で単位施工単価を作成し、国の統一基準「公共建築工事標準単価積算基準」に位置付けた。
単位施工単価は、各工種の代表的な規格・仕様の歩掛かりで算定した「ベース単価」が基礎になる。それ以外の規格・仕様では、民間調査会社の物価資料に掲載されている市場取引の調査結果を活用し、それをベース単価に掛け合わせて算定する「シフト単価」を使用する。シフト単価の労務費相当額もベース単価の労務費率から算出し把握できる。
設計労務単価が算定式に組み込まれることで、結果として従来の市場単価と比べて算定額は上昇する見込みだ。ベース単価の労務費部分の考え方は標準労務費と同じであり、先行3種類で用いた歩掛かりは標準労務費の工種別の具体的な数値の設定にも活用される。
官房官庁営繕部は市場単価を適用する他の工種でも歩掛かり調査を進め、必要なサンプルが得られた工種から順次、単位施工単価を導入していく方針だ。








